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メロンの歴史について

歴史のお話

いまだ謎に包まれた、そのルーツ。

メロンの歴史…メロン発祥の地はどこか? 古今東西さまざまな人たちが、この魅惑的なフルーツのルーツ探しに挑んできました。しかしはるか昔への起源の探究は、何事においても難しいもの。メロンの場合も、アフリカ説、インド説、中近東説、中央アジア説など諸説あり、全員一致とはいかないようです。
 
そのような中でも、特に有力視されている説があります。アフリカ説です。アフリカ大陸の中でもグッとエリアを絞って、現在のギニア共和国近くのニジェール川流域、そこがメロン誕生の地だと主張する説もあります。
 
とはいえインド説も根強いようです。さらにはそれを展開させた説、「メロンは太古の大陸移動が起こる前の、“超大陸パンゲア”にすでに生息していた。それが二つに分かれたのだ」という説まであります。
 
ということでメロンのほんとうの故郷は、いまひとつよく分からないのですね。

古代エジプトの壁画に、メロンあり。

メロンのルーツ確定は困難でも、ひとつ確実に言えることがあります。いずれにせよメロンの歴史は非常にふるい、ということです。
 
紀元前3000年頃から栄えた古代エジプトの壁画に描かれ、古代ギリシャ・ローマ時代の記録にも登場し、古代中国の紀元前2世紀頃の書「爾雅(じが)」などにも記述があることから、古代のエジプト、ギリシャやローマ、中国などでも紀元前から栽培されていたと確実視できます。

古代エジプトの壁画に、メロンあり。

 
発祥の地がアフリカならアフリカから、あるいはインドならインドから、原型種が東西へ分岐して広がっていったのでしょう。そして、さらに中世以降になるとヨーロッパ各地へ伝播し、品種改良が重ねられることで、メロンが進化・多様化していったと推察されます。
 
発祥の地から中国へ伝わって発達したメロンはマクワウリなどの「東洋系メロン」、もっとずっと後にヨーロッパで改良され、果皮に網目模様ができたものなどは「西洋系メロン」と分類されています。今日の私たちがふつうに「メロン」と呼んでいるのは西洋系のメロン。東洋系メロンのほうは「メロンの原型」とか、「メロンの祖先」とか、「メロンの仲間」と表現されることも多いです。
 
私たちにお馴染みの網目模様のあるメロンは、中世以降にヨーロッパ各地へ広がっていった系統に改良を加えられたものが元になっているようです。イタリアでは11~13世紀、フランスやスペインでは15世紀頃からメロン栽培が始まり、網目のあるメロンの栽培が本格的に発達するのは16世紀のイギリスからと言われています。
 
そしてその後、メロンは大西洋を渡ってアメリカへも伝わり、19世紀後半以降になるとさらに栽培が発展していきます。

日本メロンむかし話。

日本メロンむかし話。

それでは日本においてはどうなのでしょう? 今の私たちが親しんでいる西洋系メロンが入ってくるのは、明治時代になってから。けれども伝来の起源はやはり大昔にさかのぼります。
 
日本にはまず中国大陸から、東洋系メロンであるマクワウリなどの系統が伝えられたようです。少なくとも弥生時代にはマクワウリが栽培されていたと考えられ、各地の遺跡から炭化した種子と土器がたくさん発掘されています。
 
縄文時代の遺跡からも同系統の種子が発見されているとも言われ、メロンは日本でも大変ふるい歴史、少なくとも2000年は軽くまたぐ歴史をもつことが分かります。
 
そして明治時代を迎えると、一気に日本のメロン史が動き始めます。明治初期に西洋種の種子が導入され、新たな栽培の研究が始動。明治中期になると、ついに西洋系メロンの試験栽培が行われました。
 
農学者であり、造園家であり、官僚でもあった福羽逸人(ふくばはやと)という人が、フランスから種子を輸入して、現在の新宿御苑にあった植物試験場で試作に着手したのであります。

日本のメロン史に、偉人あり。

日本のメロン史に、偉人あり。

この福羽さんという人は、皇室庭園の創設や整備に携わった高名な人です。西洋式イチゴ栽培の貢献者としても知られているのですが、天皇陛下に美味しい果物を召し上がっていただきたい一心でメロンの栽培に打ち込んだと言われています。
 
福羽さんは、日本における温室栽培の先駆者であり、高級マスクメロンの育ての親のような人でもあります。明治26年(1893年)頃に、本格的な加湿温室が御苑に建設されると、そこを活用してメロンの温室栽培に注力。イギリスから種子を輸入して研究を始めました。
 
福羽さんの偉業を経て、メロンは商品として出荷され、市場に出回るようになっていきます。また、大正時代になると、アールスフェボリット品種のメロン温室栽培がいよいよ静岡県で本格スタート。日本におけるマスクメロン栽培が動き出し、さらなる品種の改良や栽培技術の向上にも拍車がかかっていくことになります。
 
しかしながら高級なマスクメロンは、まだまだ庶民にとっては高嶺の花でした。メロンの敷居が下がるのには、じつに1960年代まで待たねばならなかったのです。
 
昭和37年(1962年)。人々の手がやっとメロンに届くようになります。そのきっかけを作ったのが、プリンスメロンというメロン。いわゆる大衆メロンの登場でした。リーズナブルな価格と安定した美味しさで、人々の心を掴んだプリンスメロン。それは売れに売れた初めてのメロンでした。
 
そしてこのヒットをきっかけに、メロンの品種交配がさらに活発化。1970年代以降、日本におけるメロンの品種開発がどんどんとギアを上げていくことになるのです。
 
そのムーブメントの灯火は、現在も消えることはありません。

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